「ベルの不等式の破れ」を説明できる可能性(推敲中)

 

ある静止系においてスピンが何らかの関数でばらつきなく確定した値が与えられるのならベルの不等式は破れない。

しかし私たちはスピンを測定するとき物質を使って測定する。

その全ての物質がほぼ光速で伝搬する進行波と後退波の影響を受けていてスピンの測定はその進行波または後退波と一緒にほぼ光速で移動する系からしか測定できないとしたらどうなるだろう?

その系の確率密度は私たちのいる静止系とはかなり違うものになるはずだ。

特殊相対論の効果によってほぼ光速で移動する系から外をみると移動方向に平行する距離は圧縮されてしまう。

これにともない確率空間もゆがむのではないだろうか?

 

ここで思考実験としてスピンのモデルを以下のように考える。

質量をほとんど持たない荷電粒子があって固有振動で振動しているとする。

その固有振動に同期して周辺に定在波が形成され、この定在波により荷電粒子がその場で回転するのがスピンの正体と考えることにする。

Pを進行波の運動量とする。

スピンの方向を測定方向Aから測定する測定者Aがいるとする。

測定方向Ay軸に平行するとしx軸方向に進む進行波を進行波Aとする。

 

 

測定方向Aとスピンの回転軸のずれを角度とする。

ここではスピンの軸の自由度を2次元に限定しz軸方向の進行波の方向はによって変化しないとする。

 

 

進行波Aと一緒にほぼ光速で移動する系から見ると進行波の運動量はによって変化し

その分布はに圧縮される。

ここで

 

 

は進行波の移動速度でほぼ光速に等しいため

 

がゼロのときはほぼ静止しているように見えるため運動量はほぼゼロになる。

 

 

これに対し静止系から見た運動量ベクトルの分布は以下のようになる。


測定者Bがいて測定者Aとは角度ずれているとする。

静止系から見て平等な確立空間は以下のようになる。

 

進行波Aから見て平等な確立空間は以下のようにに圧縮される。

 

 

A,Bともに1として観測される確率とすると

 

              (1)

 

となりAを基準に計算してもBを基準に計算しても同一の値になる。

また進行波ではなく後退波を基準に計算しても同一の値になる。

 

 

のとき

 

 

 

         (2)

 

のとき

 


 

 

         (3)

 

 

 

 

 

以上によりA,Bともに1として観測される確率は量子力学の結果と一致する。

したがって一般の教科書どおり「ベルの不等式の破れ」を説明できる。